伝統楽器アングクルン
「アングクルン（angklung）」という言葉は、スンダ語の「アングクレウン・アングクレウン（angkleung-angkleung）」に由来し、これは演奏者がリズムに合わせて行う動きを表しています。一方、「クルン（klung）」は、楽器が奏でる音の響きを表す言葉です。
それぞれの音は、異なる大きさの竹製の管によって生み出されます。これらの管を揺らすと、美しく心地よいメロディーが奏でられます。そのため、アングクルンは完全な旋律を奏でるために、集団で演奏されます。
アングクルンは通常、黒竹（アウィ・ウルン）またはスンダ語でアウィ・テメンと呼ばれる竹（乾燥すると黄白色に変わる特徴を持つ）を用いて作られます。異なる大きさの２本から４本の竹管を束ね、籐で結び合わせて組み立てられます。
アングクルンの演奏方法
アングクルンの演奏は比較的簡単です。演奏者は上部の枠を持ち、下部を揺らして音を出します。基本的な演奏技法は以下の３つです：
1. クルルン（ビブラート）
これは最も一般的で基本的な技法です。両手で竹管の根元を持ち、音を伸ばしながら左右に繰り返し揺らします。
2. チェントック（スナップ）
この技法では、指で管を手のひらに対して素早く打ち付け、アングクルンに単一の鋭い打音を出させます。
3. テンケップ（ミュート）
この技法では、演奏者は一本の管を揺らし、もう一本の管が振動しないよう静止させたままにすることで、単一の音だけが鳴るようにします。
アングクルンの種類
アングクルンの歴史の中で、インドネシアの多くの地域で新しい種類が発展してきました。以下は様々な種類のアングクルンです：
1. アングクルン・カネケス
バドゥイ地域に由来するアングクルン・カネケスは、米作りの儀式の際にのみ演奏されます。その製作は内陸バドゥイ部族の成員に限られています。
2. アングクルン・レヨグ
この種類のアングクルンは、東ジャワのレヨグ・ポノロゴ舞踊の伴奏に用いられます。一般的なアングクルンとは異なる形状と音を持ち、２つの音だけでより大きな音を出します。アングクルン・レヨグは装飾としてもよく使われ、現地ではクロン・クルクとして知られています。
3. アングクルン・ドグドグ・ロジョル
ドグドグ・ロジョルは、稲を敬う伝統です。この特定のアングクルンは、儀式の行列の際にのみ使用されます。この伝統は、カセプハン・パンセル・パンガウィナン共同体あるいは南バンテン慣習共同体によって現在も守られており、彼らは毎年ドグドグ・ロジョルの儀式を行っています。
ドグドグ・ロジョルの伝統では、アングクルンのアンサンブルは６人の演奏者で構成されます：２人がドグドグ・ロジョル・アングクルンを演奏し、残りの４人はより大きなアングクルンを演奏します。
4. アングクルン・バデン
ガルートに由来するアングクルン・バデンは、当初、米作りの儀式の音楽的伴奏として使われていました。過去におけるイスラム教の普及に伴い、その役割は宗教布教（ダクワ）の伴奏へと変化しました。
ダクワの伴奏に必要な一式は、９つの楽器で構成されます：ルエル・アングクルン２つ、ケチェル・アングクルン１つ、インドゥン・アングクルン４つ、アナク・アングクルン２つ、ドグドグ２つ、そしてゲンビュン２つです。
5. アングクルン・パダエン
この種類のアングクルンは、1938年にダエン・スティグナによって初めて紹介されました。彼は管の構造を改良し、全音階を出せるようにし、アングクルンがポピュラー音楽や現代楽器と共に演奏できるようにしました。
ダエン・スティグナの構想は、ハンディマン・ディラトマサスミタによって受け継がれ、彼はアングクルンを国際的な楽器の地位にまで高めることを目指しました。
ハンディマンはさらなる改良を加えた全音階アングクルンの製作を続けました。彼と共に、ウジョ・ンガレゲナも、アングクルンを広く世に紹介することに尽力したもう一人の重要人物でした。
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